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title: 射出成形条件の最適化
description: 射出成形の強度不足の原因を実験計画法で特定します。直交表の設計、実験データの入力、主効果プロットによる効果の推定、交互作用の確認までの一連の流れを扱います。
priority: 0.6
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# チュートリアル: 射出成形条件の最適化 {#tutorial-doe-injection-molding}

## 課題 {#the-problem}

プラスチック部品の射出成形ラインで、製品の引張強度が規格を下回るクレームが発生しています。現場の技術者は、原因として以下の3つの成形条件を疑っています。

- **Temperature**: 樹脂温度
- **Pressure**: 射出圧力
- **CycleTime**: 成形サイクル時間

条件を1つずつ変えて試すと、他の条件を固定した特定の状況でしか効果を評価できず、条件間の交互作用も見落とします。3条件を同時に変えた実験を計画し、少ない実験回数で各条件の効果を切り分けます。

## 実験を設計する {#design-the-experiment}

メニューバーから **Analysis > DoE Analysis...** を選択して DoE Analysis タブを開きます。タブ右上の **New Design...** をクリックすると設計ウィザードが表示されます。

### 因子と水準を入力する {#enter-factors}

3つの因子を入力します。各因子に、実験で使う2つの条件をラベルとして入力してください。

| Factor name | Level 1 | Level 2 |
|-------------|---------|---------|
| Temperature | High | Low |
| Pressure | High | Low |
| CycleTime | Short | Long |

### 直交表タイプを選ぶ {#choose-array-type}

直交表は、因子の水準の組み合わせを均等に配置した実験計画表です。どの2因子をとっても水準の組み合わせが偏りなく出現するため、各因子の効果を独立に推定できます。直交表タイプは実験の回数を決めます。L の後の数字が実験回数で、扱える因子の上限が決まっています。

| タイプ | 実験回数 | 因子数の上限 |
|--------|----------|-------------|
| L4 | 4回 | 3因子まで |
| L8 | 8回 | 7因子まで |
| L16 | 16回 | 15因子まで |

因子数が上限以下であれば、大きい直交表も使えます。因子数より実験回数に余裕があるほど、ばらつきと効果を区別しやすくなります。

今回は3因子なので3つとも選べます。L4 は4回で済みますが、切片 + 3因子の主効果 = 4パラメータに対して観測数が4なので、残差の自由度が0になります。誤差分散を推定できず、効果の推定精度も評価できません。L8 を選ぶと8回の実験になり、残差に自由度が残るため、誤差分散を推定してばらつきと効果を区別できるようになります。

![ウィザードの因子入力画面。3因子を入力し、L8 を選択した状態](../shared/images/tutorial-doe-wizard-factors.webp)

### 反復数を設定する {#plan-replication}

直交表は各条件1回ずつの実験計画です。同じ条件を独立にセットアップし直して反復実験すると、条件内のばらつき（誤差）を推定できます。このチュートリアルでは各条件を2回ずつ反復する計画にします。L8 + 反復1でも残差自由度は残りますが、反復を追加すると各条件内のばらつきをより精度よく推定できます。

**Replications** に `2` を入力してください。直交表の各行が2回ずつ複製され、L8 の8パターン x 2反復 = 16行のデータセットが生成されます。

### データセットを生成する {#generate-the-dataset}

**Randomize run order** がオンになっていることを確認してください。実験の順序をランダム化することで、時間経過に伴う装置の温度変化や材料ロットの違いなど、実験順序に起因する系統的な偏りを防ぎます。

**Preview** をクリックすると、生成される実験計画を確認できます。L8 の基本8パターンが反復2回分で計16行表示され、Response 列は空の状態です。

![ウィザードのプレビュー画面。16行の実験条件が表示され、Response は空](../shared/images/tutorial-doe-wizard-preview.webp)

**Next** をクリックし、データセット名を確認して **Generate** をクリックすると、この実験計画がデータセットとしてプロジェクトに追加されます。

## 実験を実施してデータを入力する {#run-experiment-and-enter-data}

ここまでの手順で実験計画をデータセットとして生成しました。自分のデータを使う場合は Data Table タブで `Response` 列にダブルクリックで実験結果を入力します。

![生成された直交表の Data Table 表示。因子列に実験条件が入り、Response 列は空](../shared/images/tutorial-doe-data-table.webp)

以降は、あらかじめ結果が入力されたサンプルデータを使って分析手順を説明します。ランチャー画面の Sample Data セクションから **Injection Molding** をクリックしてください。3因子 x 2水準 x 2反復 = 16行のデータが読み込まれます。サンプルデータの行は因子水準ごとに整理されていますが、実際の実験ではランダム化された順序で実施します。

| 列名 | 内容 |
|------|------|
| `Temperature` | 樹脂温度。High または Low |
| `Pressure` | 射出圧力。High または Low |
| `CycleTime` | 成形サイクル時間。Short または Long |
| `Strength` | 製品の引張強度 MPa |

## 分析を実行する {#run-the-analysis}

メニューバーから **Analysis > DoE Analysis...** を選択します。

1. **Dataset** で `Injection Molding` を選択します
2. **Response Variable** で `Strength` を選択します
3. **Factors** で `Temperature`、`Pressure`、`CycleTime` の3つにチェックを入れます
4. **Model** は **Main effects only** のままにします。まず各因子の主効果を把握し、必要に応じて交互作用を追加します
5. **Significance Level** はデフォルトの **0.05** のままにします

設定を間違えた場合は、ドロップダウンやチェックボックスを変更して **Run Analysis** をクリックし直すだけで再分析できます。

**Run Analysis** をクリックします。

## 主効果プロットで効果の大きさを見る {#read-main-effects-plot}

**Main Effects** サブタブをクリックし、**Show 95% confidence intervals** にチェックを入れます。

各因子について、水準ごとの平均強度が信頼区間付きで表示されます。水準間の差と信頼区間の幅から、各因子がどの程度強度に影響するかを読み取ります。

- **Pressure**: High で平均 41.63 MPa、Low で 34.95 MPa。水準間の差は約 6.7 MPa で最大
- **Temperature**: High で平均 40.50 MPa、Low で 36.08 MPa。差は約 4.4 MPa
- **CycleTime**: Long で平均 39.28 MPa、Short で 37.30 MPa。差は約 2.0 MPa

信頼区間は各水準平均の推定精度を示します。信頼区間が狭いほど推定精度が高いことを示します。水平の破線は全体平均です。

![主効果プロット。Pressure の水準間の差が最も大きく、信頼区間付きで表示](../shared/images/tutorial-doe-main-effects.webp)

## 交互作用を確認する {#check-interactions}

設定パネルで **Model** を **Main effects + all 2-factor interactions** に変更し、**Run Analysis** をクリックします。交互作用を追加するとパラメータ数が増え、残差自由度が減ります。このデータでは7パラメータに対して16観測があるため残差自由度は9です。反復なしの L8 では残差自由度が1になり、交互作用の検出力が大幅に低下します。

交互作用とは、ある因子の効果が別の因子の水準によって変わることです。たとえば「樹脂温度が High のときだけ射出圧力の効果が大きくなる」という状況があれば、Temperature と Pressure の間に交互作用があります。交互作用がある因子ペアは、片方だけを変えても期待通りの効果が得られないため、組み合わせで最適条件を探す必要があります。

**Interaction** サブタブに交互作用プロットが表示されます。各サブプロットの2本の線がほぼ平行であれば、その因子ペアの交互作用は小さいと判断できます。線が交差するほど交互作用が大きいことを示します。

![交互作用プロット。3つの因子ペアで線がほぼ平行で、交互作用は小さい](../shared/images/tutorial-doe-interaction.webp)

このデータでは3つの因子ペアすべてで線がほぼ平行です。交互作用が大きい場合は、交互作用プロットのセル平均を見て最も応答が高い因子の組み合わせを選びます。

## ANOVA テーブルで検定結果を確認する {#read-anova-table}

**ANOVA Table** サブタブで、プロットから読み取った効果の大きさを F 検定の結果と照合します。P-Value 列の値が有意水準 0.05 を下回る因子は、観察された効果が誤差では説明できないことを示します。

このデータでは Pressure、Temperature、CycleTime の3因子すべてで p 値が 0.05 を下回っており、プロットで観察した効果はいずれも統計的に有意です。交互作用項の p 値はいずれも 0.05 を上回っており、交互作用プロットで線がほぼ平行であった観察と整合しています。

![ANOVA テーブル](../shared/images/tutorial-doe-anova.webp)

## 結果をもとに判断する {#make-decisions}

分析から得られたことをまとめます。

- Pressure は Strength に対する効果が最も大きく、High にすると約 6.7 MPa 強度が上がる
- Temperature も High で約 4.4 MPa 強度が上がるが、Pressure ほどの効果はない
- CycleTime の効果は約 2.0 MPa で比較的小さい
- 3因子間の交互作用は小さく、各因子の効果は他の因子の水準に依存していない

交互作用が小さいため、3つの条件を個別に最適化できます。Pressure を High に変更するのが最も効果的で、Temperature の変更がそれに次ぎます。CycleTime の変更は効果が小さいため、サイクルタイムを延ばすコストに見合うかどうかを別途判断する必要があります。

この実験は条件をランダムに割り当てた計画実験なので、実験条件の範囲内で因子と応答の間の因果的な関係を推定できます。ただし推定された効果は、この実験で使った材料・装置・水準の範囲での結果です。実際の量産条件でも同じ効果が得られるかを確認するために、Pressure = High, Temperature = High, CycleTime = Long の条件で確認実験を行うのが一般的な次のステップです。

## 関連ページ {#related-pages}

- [DoE Analysis](doe) -- DoE Analysis タブの詳細な使い方と統計モデルの説明
- [ANOVA](anova) -- 一元配置・二元配置の分散分析
