確率分布の基礎

確率分布は、どの値がどのくらい現れやすいかを表したものです。このページは、7 つの確率分布について、パラメータの意味、値の範囲、分布の形、平均と分散を説明します。

取り上げる分布は Synthetic Data Generator タブ で選べる 7 つで、パラメータの名前は同タブの入力欄の名前と対応させています。応答変数の分布として GLM の分布族を選ぶ観点は GLM の基礎 を参照してください。

正規分布(Normal)

正規分布は、Mean(平均 μ\mu)を中心に左右対称な釣鐘型の分布です。SD(標準偏差 σ>0\sigma > 0)が散らばりの大きさを決め、値の約 95% は μ±2σ\mu \pm 2\sigma の範囲に収まります。値は実数全体を取ります。

密度関数は次の式です。

f(x)=1σ2πexp((xμ)22σ2)f(x) = \frac{1}{\sigma\sqrt{2\pi}} \exp\left(-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right)

平均は μ\mu、分散は σ2\sigma^2 です。

測定誤差や残差のように、多数の小さな要因の和で決まる量を表すときに使います。

一様分布(Uniform)

一様分布は、Min(下限 aa)から Max(上限 bba<ba < b)までの区間のどの値も同じ密度で現れる分布です。値は aa から bb までの実数を取り、区間の外の値は現れません。

密度関数は次の式です。

f(x)=1ba(axb)f(x) = \frac{1}{b - a} \quad (a \le x \le b)

平均は (a+b)/2(a + b)/2、分散は (ba)2/12(b - a)^2/12 です。

範囲だけが分かっていて、範囲内に偏りを仮定しない量を表すときに使います。

ベルヌーイ分布(Bernoulli)

ベルヌーイ分布は、P(成功確率 pp0p10 \le p \le 1)の確率で 1 が、1p1 - p の確率で 0 が現れる分布です。値は 0 と 1 の 2 つだけを取ります。

確率質量関数は次の式です。

P(X=1)=p,P(X=0)=1pP(X = 1) = p, \quad P(X = 0) = 1 - p

平均は pp、分散は p(1p)p(1-p) です。

合格と不合格、発生と非発生のような二値の結果を表すときに使います。

カテゴリカル分布(Categorical)

カテゴリカル分布は、Levels に並べた水準の中から 1 つを選ぶ分布です。Weights(重み wi0w_i \ge 0)が各水準の選ばれやすさを決めます。値は水準の名前を取ります。

確率質量関数は次の式です。cic_iii 番目の水準です。

P(X=ci)=wijwjP(X = c_i) = \frac{w_i}{\sum_j w_j}

MIDAS は重みを比率として扱うため、合計を 1 にする必要はありません。重みを与えないと、MIDAS はすべての水準を同じ確率で選びます。

値は数値ではないため、平均と分散はありません。

群・カテゴリ・処置条件のような名義尺度の変数を表すときに使います。名義尺度は データ型と測定尺度 を参照してください。

ポアソン分布(Poisson)

ポアソン分布は、一定の平均発生率のもとで起きた出来事の回数を表す分布です。Lambda(平均発生回数 λ>0\lambda > 0)が発生のしやすさを決めます。値は 0 以上の整数を取ります。

確率質量関数は次の式です。

P(X=x)=λxeλx!(x=0,1,2,)P(X = x) = \frac{\lambda^x e^{-\lambda}}{x!} \quad (x = 0, 1, 2, \ldots)

平均も分散も λ\lambda です。平均と分散が等しいことはポアソン分布の強い仮定で、データの分散がこの仮定より大きい状態を過分散と呼びます。詳しくは GLM の基礎: 分散関数と過分散 を参照してください。

来店回数や故障件数のような回数データを表すときに使います。

ガンマ分布(Gamma)

ガンマ分布は、右に長い裾を持つ分布です。Shape(形状 k>0k > 0)が分布の形を決めます。Shape が 1 より小さいと密度は 0 の近くに集中し、Shape が 1 のとき指数分布になり、Shape が大きくなるほど左右対称な形に近づきます。Scale(尺度 θ>0\theta > 0)は分布を横方向に引き伸ばすパラメータで、形は変えません。値は正の実数を取ります。

密度関数は次の式です。Γ\Gamma はガンマ関数です。

f(x)=xk1ex/θΓ(k)θk(x>0)f(x) = \frac{x^{k-1} e^{-x/\theta}}{\Gamma(k)\,\theta^k} \quad (x > 0)

平均は kθk\theta、分散は kθ2k\theta^2 です。

待ち時間や金額のような、正で右に長い裾を持つ量を表すときに使います。

ワイブル分布(Weibull)

ワイブル分布は、Shape(形状 k>0k > 0)と Scale(尺度 θ>0\theta > 0)を持つ分布です。Scale は分布を横方向に引き伸ばすパラメータで、形は変えません。値は正の実数を取ります。

Shape はハザードの時間変化を決めます。Shape が 1 より小さいとハザードは時間とともに減少します。Shape が 1 のときハザードは一定で、指数分布と一致します。Shape が 1 より大きいとハザードは増加します。ハザードの定義は 生存分析の基礎 を参照してください。

密度関数は次の式です。

f(x)=kθ(xθ)k1exp((xθ)k)(x>0)f(x) = \frac{k}{\theta}\left(\frac{x}{\theta}\right)^{k-1} \exp\left(-\left(\frac{x}{\theta}\right)^k\right) \quad (x > 0)

平均は θΓ(1+1/k)\theta\,\Gamma(1 + 1/k)、分散は θ2[Γ(1+2/k)Γ(1+1/k)2]\theta^2\left[\Gamma(1 + 2/k) - \Gamma(1 + 1/k)^2\right] です。

寿命や故障までの時間を表すときに使います。